子供(わらし)が…生まれだんだ。うん…子供(わらし)が…生まれだんだ。
父親ど同じ この雪国で 子供(わらし)が生まれだんだ。父親と同じ頃
そんだ、雪溶げが終て 春のお陽(し)さまがまんぶしい頃 子供(わらし)が
生まれだんだ。この子供(わらし)も も少し大っきぐなれば 吹雪の中
走っけまわって遊ぶんだべなあど思たきゃ 父親になった今になて
雪…なぁ。お前達(めさだち)はどごで生まえで どこば通って この町さ
落ぢで来るんだがさ一回(ひとげり)も教へで呉(け)ねし誰も教(しか)へで
季節ば忘えねんで この町さ降ってくるねなぁ。手のひらコで感じる
冷(しゃ)っこい 暖(ぬぐた)みコ おら達(たぢ)の町の人だば誰でも
歩いてみて思るほどだ。そして誰しかもこの町の子供達(わらしだち)ぁ 白ぐ
キガキガと輝ぐお前達(めだち)ば待ってる。この町の子供達にしてみれば
られるもんだ。お前達(めだち)は見る子供達(わらしだぢ)の眼(まなく)は
今年も沢山(いっぺ) この町さ降って呉ろ。おら達の町の人達は誰もが
むがしは子供(わらし)であったズ事(ごと) 忘えでねぇはんでなぁ。