昔なら 船が出て 見送る人もいた 別れは悲しいものだった 待つと云うのも生命がけ さだめまでもを敵にして 唇を噛みしめた 女が生きていた あゝ 昔のように 港町 行く人も 来る人も 何かを背負ってた 身軽な人などいなかった せまいながらも海峡は 心ひき裂く壁になり ときおりの噂だけ 信じて待つばかり あゝ 昔のように 港町 桟橋は 水びたし 涙も混らせて はぐれた鴎も泣いていた 心変りを責めるのも 逢えて全てを許すのも それぞれに人生と 思えるものばかり あゝ 昔のように 港町 発売日:2007-12-19 歌手:川中美幸 作詞:阿久悠 作曲:三木たかし
月明かりもない闇に その小舟は今もある 寂寞の風に吹かれ 何かを語るように あれは百年前の 焼けつく陽射しの中 海原へとこぎだす ひとりの老人の背中 見送る影はない 天地の声もない 海へ出た老人は 二度と帰って… 海と話せるただひとりの 人だったと誰もが云う 時が過ぎて望み薄れど 戻らないはずはないと云う あれは百年前の 焼けつく陽射しの中 潮だまりにたわむれる ひとりの少女の姿 見守る影はなく 天地の声がした 波に消えた少女は 二度と戻って… 時とともに悲劇語られ 人々が忘れかけた頃 遠く離れた小島の木陰に ひとりの少女が生きていた 波の間に力強い腕 抱え上げられ小舟の上 釣った魚とひとり分の水 少女の口へ運ぶ人がいた 砂浜に打ち上げられた 息絶えた老人の小舟 陽射しから少女を守るように 抱きながら息絶えた人 寂寞の風に小舟は語る 百年の時小舟は語る 発売日:2009-06-03 歌手:シモブクレコード 作詞:下地勇 作曲:下地勇