貴方は私に名前をくれた人 貴方は私に言葉をくれた人 貴方の皺くちゃな手が温かくて好きだった 貴方の優しい眼差し覚えてる 私が 癇癪起こして貴方の背中 蹴っ飛ばした時のこと なんて事をしちゃったんだろう 頭の中真っ白になって 貴方に向けて「ごめんなさい」って 霞む視界の中 伝えた そしたら貴方 こう返した 「悪いことしたら謝ることはとっても大事さ 悪い事を悪い事と認めるのが一番つらいのさ あぁ 君は大人になったね」 何を言われてるのかその時はわからなかった 貴方の背中に残った 内出血の痕 今でも 今でも 目に焼き付いてて ごめんなさいって呟く 貴方はとある夏の暑さに体調を崩して 一冬を乗り越えて意識を手放した 「たくさんお見舞いに行くね」って 貴方に約束したのに 私恐くて お見舞い行けなくなった どこを見ているかわからない黄色の目も 一人でできなくなってしまった呼吸も この目で見るのが恐くなった どんな理由を並べても 薄情な自分に嫌気がさす 貴方が事切れた日のこと よく覚えている 冷たくなっていく指先を ぎゅっと握った 温かくなれ 温かくなれ 温かくなれって唱えたけど 温かくならなかったよ 貴方は白い布を纏い 花と涙に囲まれて 白い煙になり青空に溶けた 貴方に残ったのは真っ白な骨だけ 箱に入れなくちゃいけない 箱に入れなくちゃいけない 軽くなってしまった貴方を 箱に入れなくちゃいけない 箱に入れなくちゃいけない 箸でなんて持てなかった この手で骨を集めた 手に残った骨を水で洗い流したくなくて 貴方の骨を この手に残った骨を 私 食べた 私に名前をくれてありがとう 貴方がくれた温もりを抱いて 長い道を歩いていく。 発売日:2021-01-11 歌手:カタソビ 作詞:Fumina 作曲:Aira