口笛が聞こえる町-谷村新司

旅に出るなら雨の日が一番似合うと思っていた

右手には傘、左手にはつかみそこねた幸福を

ついてなかった生きる事に

努力はいつもしていたが

所詮笑顔の似合わない人もいる

かもめが低く飛ぶ曇り空

ロシアの船の着く港

砕ける波 ほほにつめたく 旅立ちを責める

思い出せば楽しいことも少しはあった

誰が吹くやらこんな日に聞きたくもない口笛を

誰が吹くやらこんな日にとうに忘れた口笛を…

消すに消せない痣のある

まちがいだらけの青春と

分かっているのは誰れよりも

自分なんだと知っていた

心の糧になる本を鞄の底にしのばせて

話し相手にしてみても夜は長い

いかつり舟の漁火だけが淋しくゆれる北の海

窓にうつる自分の顔は若くはなかった

悲しいけど大人の顔に変っていた

誰れが吹くやらこんな日に聞きたくもない口笛を

誰れが吹くやらこんな日にとうに忘れた口笛を…

発売日:1998-02-25

歌手:谷村新司

作詞:谷村新司

作曲:谷村新司