お世話になりました-内田有紀

春一番が駆けてゆく庭 おなじみの窓の景色

家具の消えた部屋から見てると いつもより寒そう

ママに隠しごとするときには よく使ったベッド下

陽の光をこんなに浴びたら 少しあっけないね

今日でお別れだよね 猫のミケに話したら

大きなアクビひとつしたきり また目を閉じた

誰にも見られずにおセンチになれたこの部屋でひとつ

深呼吸をしたら言いましょう

「お世話になりました」

散らかしてばかりと怒られた この部屋も片づけたら

空っぽのスペースに思い出が全部入りそうね

お気に入りのポスターはがした後の壁紙

哀しいくらい白く 心に突き刺さるから

新しい街の一人暮らし 希望と不安にゆれる

心にシャッターを切りながら

「お世話になりました」

照れくさくて言えない気持ちはこのまま置いてゆくから

最後にもう一度言わせてね

「お世話になりました」………

発売日:1995-02-08

歌手:内田有紀

作詞:種ともこ

作曲:宮島律子