土曜の夜の小さな反乱-小山卓治

7時になると私の妻は悪魔のような声で

私をベッドから追い出そうとやっきになり始める

最近疲れが取れなくなった

朝食は絵に書いたようなメニュー

ミルクをもう一杯ついでくれ

9月になれば私もとうとう30歳になる

ぼやぼやしてるとこのままおっさんになってしまう

いってらっしゃいで歩き出して

ふと振り返る愛しい我が家

背伸びするようにアンテナがのびる

ほんの小さなきっかけで

すべて投げ出してしまえる

あなたならわかってくれるでしょう

もいちどどこかへ Starting Over

駅まで5分地下鉄で会社まで1時間

窓ガラスにぼんやり写る男の姿は

まるでそこに立っているのが

申し訳ないような顔だ

よく見てみなよてめえのツラだぜ

考えてみればいい時代なんて私にはなかった

数えきれないロマンスが目の前を通り過ぎた

浮足立った土曜の夜

今日は素直に帰りたくない

私はネオンに向って歩き出す

ほんの小さなきっかけで

すべて投げ出してしまえる

あなたならわかってくれるでしょう

もいちどどこかへ Starting Over

折り紙つきの悪共や女達がからみつく

私は道の真中を足早に歩き続ける

大変だみんな狂ってる

えらい所へ迷いこんだ

違います私は通りすがりです

鼻の頭に汗を浮かべて家に帰りついた

私は妻の太り始めた背中につぶやいた

おまえがいてくれてよかった

ここにいる限り大丈夫

おかしな気まぐれさえ起さなければ

ほんの小さなきっかけで

すべて投げ出してしまえる

あなたならわかってくれるでしょう

もいちどどこかへ Starting Over

発売日:1986-07-21

歌手:小山卓治

作詞:小山卓治

作曲:小山卓治