最後の砦-THE HEART

この部屋から笑顔が

ひとつ足りなくなって

もうどれ位 経ったのだろう

お袋と二人きりの毎日も

まんざら悪くはないと

感じてるけど ため息をつくたび

またひとつ老け込む お袋の姿は

今の俺にはまだ重すぎる

出て行った親父を 恨みはしないけど

残された二人には この部屋は少し広すぎる

毎晩 ギター抱え歌う生活は

俺にわずかばかりの 余裕を与えてくれた

仕事終わりの酒も 美味く感じ始め

恥ずかしながら母の日に

カーネーションも渡せた

あの頃の親父に

俺は近付いているかい

背伸びをしてみても

まだ少しだけ 足りないかい

この街に生まれて この街に育ち

俺を愛し育てた 親父を忘れはしない

愛すべきもの 支えて行くもの

戦いの内 守ることが

出来て初めて 男と呼ばれると

出て行く前に親父は

泣きながら言った

やがて俺も家族を愛し

子供を育て この街で戦う時が

来る筈さ その時初めて

解り始めるだろう

男が最後に守る 砦の意味が

発売日:1989-11-28

歌手:THE HEART

作詞:井口一彦

作曲:井口一彦