コオロギの唄-長渕剛

かあちゃんが昨日死にました

夏の暑い暑い午後でした

空いっぱい蝉たちがしきりに鳴いていました

群にまぎれて僕も泣きました

健坊たちもかけつけてくれました

花屋の真ちゃんは祭壇を作ってました

汗だくの真ちゃんの無言の背中を見てたら

とめどなく涙があふれてきました

かあちゃんが焼き場に放り出されるその前に

でっかい背中が遂に崩れ落ちました

そうです僕の親父は最後の最後のお別れを

おふくろの口びるに告げました

息絶えるまでのわずかな温もりでした

僕はかあちゃんの右手を握りしめてました

生き抜く力をふりしぼり僕に向けてひとつだけ

かあちゃんは息をしてみせてくれました

生まれてよかったと

僕は初めて思いました

そしてこの母(ひと)が僕を生んでくれたんだなって

なぜかあたりまえのことを考えていました

少しだけ気の早いコオロギが一匹

僕の部屋に舞い込んで来ました

そして僕は言いました

『お前も生まれてよかったね』と。

LALALALA LALALALA

発売日:2001-06-27

歌手:長渕剛

作詞:長渕剛

作曲:長渕剛