爪先上がりの坂道で 偶然君と出会ったのは 春の日にしては肌寒く 日射しの頼りない午後の事 うつむき加減に坂を下りて来る君を 僕はもう疾くに立止まり見ていた ふと目を上げたその顔は まるで病葉(わくらば)が散るように 微かに揺れた その場に二人は立ち尽くし 暫くは思い出に迷い込む 再びざわめきが戻って来ると 軽く会釈をして通り過ぎた 擦れ違い様のあるなしのそよ風に 君の香水の芳りが漂う それはいつでも君からの 便りにそっとさりげなく 添えられていた 随分君も変わったね 薄く口紅も引いてたみたい お化粧嫌いの君を誰が そんなに自由に操っているのか 徒らに過ぎる時に戸惑いながら 僕はまだ君の面影に逡巡(ためら)う 足早に行く君の背は 雲に濾(こ)された日の光に 空しく消えた 雲に濾(こ)された日の光に 空しく消えた 発売日:1997-05-21 歌手:永井龍雲 作詞:永井龍雲 作曲:永井龍雲