ホタル-KAN

音もたてずに波をわけるように

月影に蒼く時間ごと包まれて

流されるままにここにたどりついて

君をうまく形容するすべ知らず

閉ざしてた胸の奥に

静かに忍びこんでくる

君の影に戸惑っているよ

夏に焦がされ火照る身体は

巧み過ぎる誘惑にすいこまれてゆく

水面に映るホタルみたいに

ぼくの胸の暗闇を照して揺れている

その光がいつか消え絶えたら

おわりが来ること互い気づかないふりで

今はこのまま

嘘も真実も確かめないで

未来も語らないでいい

飽きるほど慎重に

言葉かさねてゆくように

やがて二人唇を重ねる

焼けた素肌をもてあますような

うねる曲線に沿って 灯を落とせば

水着の跡はホタルみたいに

闇に白く浮かびあがりぼくを狂わせる

足元にまとわりつく砂を

手ではらうように懐かしまず

君は季節を撫でるまま擦り替える

声も雫も果てるくらいに

抱きしめ合った二人の夏が終わりゆく

命はかなきホタル妖しく

記憶の遠くにまだ輝いてる

発売日:1994-11-26

歌手:KAN

作詞:KAN

作曲:KAN