惜春-さだまさし

君は坂道を登ってゆく

僕は坂道を下りてゆく

すれ違い坂は春の名残りに

木蓮の香り降る夕暮れ

薄墨の中に沈みゆく愛を

涙と交互に掘り起こせば

出逢うのはいつもあたたかな嘘と

わずかばかりの夢の切れはし

やさしさ故に傷ついて

やさしさ故に傷つけて

君は振り返る弱さもなく

僕は引き止める強さもなく

ただ立ち尽くせば背中合わせに

おだやかに落ちてゆく二人

君は忘れ去る強さもなく

僕は思い出す弱さもなく

ただ音もたてず時の流れに

ふりつもるさびしさの気配

倒れゆく愛の光と影から

こぼれた真実(ほんとう)を抱き起こせば

哀しみはつまり風に追われては

枯葉がくり返す吹き溜り

やさしさ故に傷ついて

やさしさ故に傷つけて

君は坂道を登ってゆく

僕は坂道を下りてゆく

すれ違い坂は春の名残りに

木蓮の香り降る夕暮れ

発売日:2006-01-11

歌手:さだまさし

作詞:さだまさし

作曲:さだまさし