革命のダルカ-DarkestoRy

怯むな。進め。

悪魔に奪われたものを思い出せ。

奴らに【言葉】などは通じない。

悪魔を殺せ……俺たちの手で!

青年[ルドルフ]は途方に暮れた。

またひとり、同志を失ってしまったのだ。

「早く帰ろう……」

そこへ、路地裏で嗤う不気味な老人が現れる――

「悪魔が憎いかい? 勝利が欲しいのかい?」

怪しげな首輪をルドルフに差し出した。

悪魔に変化[なりすま]し、王宮へ潜入[もぐ]れば、革命の勝機は必ず来る。

夜に溶け込め。

悪魔に復讐を――Feuer

世界に革命を――Feuer

同志に勝利という花を。

その剣が狙うのは、悪魔の王子

「聖義[せいぎ]は、ここにある!」

悪魔の胸に剣を突き立て、灰になるまで滅ぼすのだ!

そう、悪魔[こいつ]に【言葉】などは通じない。

月が照らすは小さな姿。天使の素顔で眠っている。

あぁ、なんてこと……王子はまだ子供じゃあないか……。

その王子、マリスはひとりぼっちだった。

気に入られたルドルフは、世話役を任される。

あどけないマリスに 戸惑いながら、

ふたりの奇妙な“友情”がはじまる。

「親友[とも]と呼んだのは、お前が初めてだ」

何も知らないマリスは、この宿敵[ぼく]を喜んだ。

……どちらが悪魔だ? あぁ、もう何もわからない。

必ず守ると誓いまでして。

偽りの【言葉】で。

愚民に粛清を――Feuer

欺瞞に断罪を――Feuer

醜行に手向けの花を。

側近の男には、すべて見抜かれていた。

「虚犬[こいぬ]が、ここにいる!」

悪魔たる、悍ましい紅い眼。

殺意と、血に飢えた皓[しろ]い牙。

そう、悪魔[わたし]は【言葉】なんて信じない。

対話[はなし]さえ聞いてくれぬままに、殺してしまえと糾弾する。

あぁ、いびつな友情だった。目が覚めたようだ。

戦友[とも]のもとへ還ったルドルフは【言葉】を失った。

そこで見たのは、変わり果てた同志たちの姿だった。

……夜明けと共に、王宮への奇襲を。

同志に報いる剣を!

「ルドルフ、お前も来てくれるだろ……!」

姿形[すがた]の違う者たちが、信頼[しん]じあうのは難しい。

ルドルフは複雑な【言葉】を秘めたまま、次々と悪魔を散らしていく。

だが、どうしても頭から離れない。

この奥で待っていた……あの王子の笑顔が。

ルドルフは葛藤した。

共に夢みた戦友か。

守ると誓った親友か。

一体どちらが、本当の自分なのだろう。

悪魔の変化[かお]で出遇えた親友[とも]へ。それが、せめてもの償いなら。

ただ、ひとつでいい。お前だけは……

「……逃げてくれ!」

同志の凱歌が迫る部屋で、「迎えに行く」と約束した。

また、偽りの【言葉】で君を救えるなら。

悪魔の変化[かお]に気付かぬ戦友[とも]が、灰になるまで滅ぼすという。

なら、それでいい。

悪魔はきっと、僕のことだった。

「我が名は“マリス”……悪魔の王子だ」

ひとり生き延びたマリスは、古びた洋館[やかた]に身を隠した。

「迎えに行く」と約束した、あの親友を待ち続けて……。

発売日:2020-12-02

歌手:DarkestoRy

作詞:奏音69

作曲:奏音69