忘れた-teto

60分15000円と書かれた右手の看板と

左手の薬指には安っぽく光る指輪

俺はそんな彼に何故だか憧れを抱いた

「歩けど歩けど歩かねばならぬ」との歌を思い出した

副業であかぎれた母の手とそれを馬鹿にしたクラスメイトと

顔立ちすら思い出すことのできない過去の父と

考えただけでもう何故かえずいてしまっていた

不安定、不透明、不感症なそんな過去を思い出した

いつか全て忘れた頃、無くした頃あなたと居た

あなたと見た半径1メートルの世界だけはもう譲れはできないなって

そう思えるから今日も生きれたんだ

抱き合い共に笑う子供達、泣き顔を恥じ隠す大人達

空腹と憂鬱で背けたくなる午前と何も手の付かない午後

骨の軋む音まで何故か聞こえてしまうから

いつしか届けと思い漕いでたブランコを思い出した

今まで喜ばせた人の数、今まで悲しませた人の数

幾度も考えた今についてわからずにまた今日も眠る

自分の居場所を知られたくない それでも誰かに気づいて欲しい

当ての無い場所を彷徨い、幾千の歳月は去っていた

ああ赤い実も弾けて

いつか全て忘れた頃、無くした頃あなたと聞いた

あなたと知った半径1メートルの世界だけはもう譲れはできないなって

そう思えるから今日も

いつか全て抱えてもっと離さずもっと無くさずもっと必ずとも

何年経とうたって寿命がいつ来たって忘れはしたくないなって

そう思って今日を生きていたいんだ

まだまだ

発売日:2018-03-21

歌手:teto

作詞:小池貞利

作曲:小池貞利